1万対4万2千、「玉砕の島」の守備隊長
戦死者10222名。最後に残ったのは34名。玉砕から75年、いま明かされるペリリュー戦の全貌。
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妻への手紙

 中川が意外に筆まめであったことは以前の章で触れているが、彼はペリリュー島での困難な日々の合間にも、妻のミツエに手紙を書き送っている。以下に紹介するのは、中川が七月三十一日に綴った手紙である。文中に出てくる「緒方様」というのは、中川の妹であるミヲの嫁ぎ先を表している。ミツエは嫩江で夫を見送った後、内地に戻って緒方家に寄寓していた。

〈拝復六月二十二日付手紙落手仕り候。無事熊本の緒方様宅にて御暮しの由何よりと存じ候。当方その後元気にて第一線勤務に従事、将兵一同愉快に、不自由なく、暮し居り候故御放念被下度候〉

 南方における戦況の悪化は、誰の目にも明らかであった。そんな中での「元気」「愉快」「不自由な…

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