この島のことを、誰かが書き残しておかなければならない
「水納島はこの40年のあいだに明治から平成になったようなもんですよ」。年間7万人の観光客が訪れる沖縄県北西部の小さな島で、6日間の滞在中に聞き知った島の歴史や流れてきた時間。住宅のコンクリート化、沖縄返還、海洋博。40年前に電気と水道が開通したこの離島が見つめ続けてきた、沖縄と日本の記憶しておきたい歴史の姿。

3日目

 夜明け前、海は暗闇に包まれていた。夜の海に出るのはおそろしく、これまで何度も水納島を訪れてきたけれど、ひとりで夜の海に出かけたことはなかった。でも、仲地さんがひとり砂浜に佇んで夜釣りをしている日もあるのだと思うと、夜明け前の海を歩いてみようという気になった。

 浜辺には街灯がなく、最初はただ暗闇としか見えていなかった風景に、少しずつ目が馴染んでくる。深い藍色の海が見える。対岸には伊江島があり、無数のひかりが灯っている。伊江村に電気が開通したのは昭和351960)年で、水納島より21年も先だ。夜が更けると発電機が止まり、真っ暗になっていたこの島から、対岸のひかりはどんなふうに見えていただ…

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