しかしそれでは、ここでまたモラトリウムに逆戻りし、靖国の本質にかかわることについては再び何もしないということで終わってしまうのか。
釈然としないところがある。
太平洋戦争が終わるまでに国のために命を捧げた人たちに報いる場所として、筆者は靖国に勝る場所はないと考えてきた。それはあまりにも多くの人たちが、英霊もその家族も「靖国で会おう」という物語を背負って生き、亡くなっていかれたからである。
そういう大事な場所であるなら、今看過しえないもう一つの問題がある。七八年のA級戦犯の合祀以来、昭和天皇が靖国にお越しになったことがなく、また、今上陛下も靖国に行かれないとい…
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