筆者が二〇〇二年に外務省を退官した後、日本語で自分の意見を発信し始めたのが二〇〇六年の夏。本書は、その後の一〇年の間、自分なりの問題意識をもって書き続けてきたものの中から、今一定の区切りをつけたいと考えたものを選びぬいた所存である。
選んでみると、とりあげた問題が、歴史認識問題と領土問題に集中していること、相手国が、中国・韓国・ロシア、かつ、すべての問題の背景にアメリカがいることに、今さらながら気付かされる。
歴史認識問題と領土問題を考えてきた筆者の問題意識は、一貫したものだったと自分では考えている。現下の日本が世界に置かれてい…
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