「琉球検察は歴史の暗闇に消えた」
米統治下の沖縄に存在した独自の司法組織「琉球検察」。シマの歴史を背負い、米国と日本の間で苦闘し、本土返還とともに封印された琉球検事の生き様が、証言によって現代に甦る。

エピローグ

 元琉球検察庁公安部長の高江洲歳満が言う。

 「沖縄の日本復帰の日に、琉球検察は消えたんです。庁を動かした多くの者も逝きました。琉球検察は歴史の暗闇に消えた。でも、私の記憶のなかにはありますよ。独立精神をもって自由闊達に真相を究明して、慎重な公訴提起を行って、米国統治下で知恵を絞って難局を乗り越えた琉球検察の記憶がね」

 その高江洲と知り合ったのは、2003年。1934年生まれの高江洲が69歳のときだった。検察官を退官し弁護士となっていた高江洲は、前年に起きた米兵の強制わいせつ事件の弁護を担当していた。

 高江洲はさかのぼれば、95年の「沖縄米兵少女暴行事件」の米兵側の弁護にも関わっていた。日本で犯…

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