「琉球検察は歴史の暗闇に消えた」
米統治下の沖縄に存在した独自の司法組織「琉球検察」。シマの歴史を背負い、米国と日本の間で苦闘し、本土返還とともに封印された琉球検事の生き様が、証言によって現代に甦る。

7章 本土復帰と琉球検察の終焉

■艦砲射撃のなかの移送

 高江洲の脳裏には、琉球検察の先輩たちから語り継がれ、まるで自分の記憶のように焼き付いた光景がある。

 1945年──。4月に米軍が沖縄に上陸すると、沖縄検事局の職員たちは那覇から豊見城へと南方に、その職場を〝疎開〟させることになった。

 背丈を超える紙をうず高く積んだ荷車が砲火の中を走っていく。艦砲射撃は激しさを増していた。空からは米軍機の爆撃が狙っていた。それを避けるためにも移動は夜間に限られた。那覇から豊見城まで、徒歩だと早くても一晩はかかる。

 職員たちはそれぞれ必要書類を持って那覇の庁舎を後にした。夜間移動の危険は足元に潜んでいた。艦砲射撃や爆撃の砲弾で道々の至るところに大小の穴があいてい…

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