2010年、数え年で97歳を迎えた比嘉良仁は、那覇市内の日航ホテルでカジマヤー(風車祭)と呼ばれる祝いの宴を開いた。そこには親戚一同に加え、数多くのかつての部下たちも集まっていた。
比嘉は1954年から72年までの18年間にわたり、琉球検察庁の検事長を務めた。琉球政府ができてからわずか2年後の着任であり、72年の沖縄の本土復帰に伴っての検事長辞任だった。つまり、比嘉は琉球検察庁、最後の検事長ということになる。
同じ職位での在任期間が18年もの長きにわたった官僚は、少なくとも戦後日本ではおそらく見当たらないだろう。日本本土の官僚の、ひとつのポストでの在任期間は平均して2年か、長くても3年だ。次…
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