「琉球検察は歴史の暗闇に消えた」
米統治下の沖縄に存在した独自の司法組織「琉球検察」。シマの歴史を背負い、米国と日本の間で苦闘し、本土返還とともに封印された琉球検事の生き様が、証言によって現代に甦る。

■燃えた車の残骸

 署長の豊崎までもが署外に出てしまい、指揮・命令系統に混乱が生じているな、と公安部長検事の高江洲歳満は瞬時に悟った。1968年の組織改正で、琉球検察庁の名称は琉球高等検察庁と那覇地方検察庁に変更され、高江洲は那覇地方検察庁の検事だった。

 しかし、いずれにしても混乱状態にあるコザ署のなかでは情報収集さえままならない。コザ署での事態把握は難しいと判断した。コザ署から50メートルと離れていないゴヤ十字路へと向かった。

 十字路の辺りには黒煙がくすぶっているのがすぐにわかった。MPの車両だろうか、十字路の南側には2台の車が燃えた残骸が転がっている。

 MPが道路を封鎖しているのだから当たり前だが、車の往来が一…

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