「琉球検察は歴史の暗闇に消えた」
米統治下の沖縄に存在した独自の司法組織「琉球検察」。シマの歴史を背負い、米国と日本の間で苦闘し、本土返還とともに封印された琉球検事の生き様が、証言によって現代に甦る。

2章 燃えるコザ

■深夜の交通事故

 事件は1本の通報から始まった。

 19701220日午前15分。タクシー運転手が事故を目撃し、中の町交番のふたりの巡査に通報した。

 数分後には、事故の通報を受けたふたりの巡査が現場に到着すると、事故車両とみられる黄ナンバーの車両は道路の外側車線に停められ、事故に遭った日本人男性の翁長清一はその車両前に仰向けに寝ていた。

 翁長の傍らには車両の持ち主が立っている。駆け付けた巡査ふたりのうちひとりが、その翁長に向かって「大丈夫か」と声をかけると、翁長は仰向けになったままうなずく──。

 加害者となったハロルド・R・ジェイムスは、その直前の午前1時頃、車両番号「AD 2920」の普通乗用車で時速30

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