「琉球検察は歴史の暗闇に消えた」
米統治下の沖縄に存在した独自の司法組織「琉球検察」。シマの歴史を背負い、米国と日本の間で苦闘し、本土返還とともに封印された琉球検事の生き様が、証言によって現代に甦る。

4章 見えない首謀者

■暴動の予兆

 琉球検察庁(1968年の組織改編で当時の正式名称は那覇地方検察庁)コザ支部は、最初の事故現場となった中の町給油所の向かい、今はない京都観光ホテルの裏を奥に入った道路の突き当たりにあった。

 19701220日未明、年の瀬も押し詰まった沖縄の朝は遅かった。

 暴動の現場の状況をひとしきり眺めてきた公安部長検事の高江洲がコザ支部についたとき、まだ空は暗かったが、支部長室の灯りだけはついていた。

 支部長の池田盛純は、必要となれば徹夜仕事も辞さない人物だったから、明け方に電気がついているのも不思議はなかった。

 高江洲は池田をよく知っていた。高江洲の担当する公安事件は、実は人間くさい作業を求められるこ…

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