「琉球検察は歴史の暗闇に消えた」
米統治下の沖縄に存在した独自の司法組織「琉球検察」。シマの歴史を背負い、米国と日本の間で苦闘し、本土返還とともに封印された琉球検事の生き様が、証言によって現代に甦る。

5章 〝巨影〟瀬長亀次郎

■沖縄島民の感情

 沖縄の日本本土に対する複雑な心象は、歴史のなかでやむなく育まれたものだとする見方がある。

 1872(明治5)年919日、天皇の勅語によって琉球王国は〝一方的〟に日本に組み込まれることになるが、第二次世界大戦による米軍の上陸から遡ることおよそ300年前、琉球は日本本土から、薩摩藩(鹿児島)による侵攻を受けていた。

 琉球侵攻の以前、東南アジア一帯を相手に、琉球は広大な海に船を走らせ、貿易の拠点となる津梁を築き、島には大きな富と利益がもたらされていた。薩摩はここに目をつけ、この富の略奪と吸収を狙ったのだ。

 今日も沖縄ではしばしば真剣に議論される「琉球独立論」は、こうした薩摩藩の侵攻にまでその根を…

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