世界最大の市場で今も取り残される「85%の被差別民」
何千年もの間、インド人の約85%の民衆が低カースト民として奴隷扱いされてきた。今、その民衆が目覚め始めた——。大国・インドで何が起こっているのか。現場からの迫真の書。
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はじめに

 四十年前、私はインド北部にあるビハール州パトナ市に滞在し、パトナ大学に留学していた。パトナ市は、デリーやボンベイ(ムンバイ)、カルカッタ(コルカタ)のような大都市の活気はないが、落ち着いた雰囲気のある古都である。私はあるインド人の家に寄宿し、そこから大学に通っていた。のんびりした街と親切な人びとに囲まれ、ご機嫌な日々を送っていた。

 ある日、運転手と案内のインド人K氏とともに、街を離れて郊外まで車で出かけることになった。車が田園地帯に入り、道路には畑に急ぐ農夫の群が次第に増えていったその途中、突然ドスッという鈍く気味の悪い衝撃音と同時に、大きなものがフワッと宙に舞い、ゆるやかな放物線を描いて前…

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