日米が頼った大和魂の日系人弁護士
激動の20世紀に「二つの祖国」を生き抜いた男は、「大和魂」と「アメリカンスピリッツ」の狭間で何を考え、どう行動したのか。「堤清二『最後の肉声』」(「文藝春秋」掲載)で2016年(第47回)大宅壮一ノンフィクション賞(雑誌部門)を受賞した筆者の受賞第一作の大型評伝!

第六章 驕る日本への不安

■『ジャパンアズナンバーワン』の時代

 大統領通商諮問委員会委員に選ばれた村瀬は様々な場面で日本に対する危惧の念を持つようになる。先に紹介した、諮問委員会での『日本沈没』の逸話もその一つだ。

 日本人は、焦土と化した国土から、その勤勉さ、忍耐力、克己心といった生来の美徳によって奇跡と呼ばれる復興を遂げた。

 村瀬はそうした日本人を誇りにしていた。と、同時に日本の経済が目を見張るような成長を遂げ、貿易摩擦が生じ始めると不安を持つようにもなっていった。

 村瀬は日本人の美質だけを強調し過ぎるような本や意見が溢れるようになっていることを、恐れを持って見ていた。

 例えば、日本ブームの先駆けであり、日本の経済システムを世に知らしめた『ジャパンアズ…

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