日米が頼った大和魂の日系人弁護士
激動の20世紀に「二つの祖国」を生き抜いた男は、「大和魂」と「アメリカンスピリッツ」の狭間で何を考え、どう行動したのか。「堤清二『最後の肉声』」(「文藝春秋」掲載)で2016年(第47回)大宅壮一ノンフィクション賞(雑誌部門)を受賞した筆者の受賞第一作の大型評伝!

■移民排斥のアメリカ

 アメリカは移民によって作られた国家だ。新世界であり、新たな移民の流入こそ、新世界の証明でもあった。

 けれども、アメリカを作り、支えた移民は、建国当初から諸刃の剣だった。

 アメリカ合衆国建国の父の一人であるベンジャミン・フランクリンでさえも、イギリス系住民が作ったペンシルベニア入植地に流入するドイツ系移民を激しい言葉で罵っている。

「ドイツ人は無知な愚か者で、ドイツからドイツ語の本を輸入し、子供たちは英語を学ぼうとしない。そればかりか、低賃金で働き、英語住民の仕事を奪っている」

 今日、大統領となったトランプを連想させる発言だ。

 アメリカに辿り着いた移民は、いつしか既得権益者となり、新たな移民を白…

この作品では本文テキストのコピー機能を制限しています

01