日米が頼った大和魂の日系人弁護士
激動の20世紀に「二つの祖国」を生き抜いた男は、「大和魂」と「アメリカンスピリッツ」の狭間で何を考え、どう行動したのか。「堤清二『最後の肉声』」(「文藝春秋」掲載)で2016年(第47回)大宅壮一ノンフィクション賞(雑誌部門)を受賞した筆者の受賞第一作の大型評伝!

■二重国籍

 二郎と一緒に角瓶をなめた目崎昭司を兵庫県西宮市南郷町の瀟洒な住宅街に訪ねたのは、二〇一五年(平成二十七年)の夏のはじめの頃だった。

 降り始めた雨の中、八十七歳になる目崎は、玄関先で傘をさして待ってくれていた。目崎の傍らには夫人が静かに付き添っていた。

「こんな遠くまで来ていただきまして、本当に申し訳ないことです」

 こういうと目崎は深々と頭を下げた。

 二郎と目崎の交わりは、芦屋中学時代から二郎が亡くなるまで続いた。

 目崎と二郎は勤労動員先も同じだった。軍艦のパイプを作る住友金属工業(現・日鉄住金鋼管)の子会社「日本パイプ製造」が目崎と二郎が働いた工場だった。五十音順で村瀬の〝む〟の次が目崎の〝め…

この作品では本文テキストのコピー機能を制限しています

01