日米が頼った大和魂の日系人弁護士
激動の20世紀に「二つの祖国」を生き抜いた男は、「大和魂」と「アメリカンスピリッツ」の狭間で何を考え、どう行動したのか。「堤清二『最後の肉声』」(「文藝春秋」掲載)で2016年(第47回)大宅壮一ノンフィクション賞(雑誌部門)を受賞した筆者の受賞第一作の大型評伝!

第四章 級友との再会

■成功

 先述した島重信の次女・利々が、初めて父とともにワシントンDCでの生活を始めたのは、一九五四年(昭和二十九年)だった。それから十一年後、利々は外務省職員、堂之脇光朗と結婚し、夫のニューヨーク総領事館勤務に付き添ってアメリカの地を再び踏んだ。一九六五年(昭和四十年)のことだった。

 村瀬家とは十年ぶりに近い再会となった。この時、利々は村瀬家の変貌ぶりに驚いたという。ロースクールに通う大学生だった村瀬が弁護士となり、順調に成功していることも驚きだったが、ニューヨーク郊外とはいえ一軒家を建てていたことにはもっと驚いた。ニューヨークの中心部マンハッタンから三十五キロ、車で小一時間の場所だった。

 ハドソン…

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