この年、「神の罰」がアフリカに降り注いでいた。各地でバッタの出現が相次ぎ、すでに一部のエリアでは大群が猛威を振るっていた。農作物が壊滅的な被害を受け、このままでは飢饉の恐れがあった。事態を重く見たFAOバッタ対策本部は、各国にバッタとの全面戦争に備えるように通告を出していた。
ここモーリタニアにおいても、研究所は対策に追われていた。いち早くバッタの発生現場をおさえようと、連日にわたって調査部隊が砂漠に送り込まれていた。
例年にない大雨が、今回の事態を引き起こした一因だと考えられる。過去に歴史的なバッタの大発生が起きた年は、決まって干ばつの後に大雨が降って…
この作品では本文テキストのコピー機能を制限しています