あとがき
モーリタニアでは、年に一カ月間、ラマダンなる断食を行っている。日が昇っている間は、飲食禁止で唾すら飲んではならず、砂漠の国で水分補給を断つ苦行を己に課している。日が沈んでいる間は飲み食い自由なので餓死することはないが、大変なイベントだ。
一度、ラマダン中とは知らずに野外調査に出向いたことがあるが、炎天下でもモーリタニア人は一口も水を飲まなかったので、熱中症にならないか心配していた。ただでさえ厳しい自然環境なのに、何ゆえ過酷な状況にその身を追い込むのか。答えを求めて自分も彼らに倣ってたった3日間ではあるが、ラマダンをしてみた。すると、断食中は確かにつらいが、そこから解放されたとき、…