「さあ、また地獄が始まるか」
自動車工場で働く僕が見たものとは。「働くこと」の意味を問うルポルタージュの歴史的名著に、最新の情勢を加筆した新装増補版。

二一四六名の首切り

 Mさんに会った。かれは一九五〇年(昭和二五年)そう当時、ろうの青年部長だったという人だ。いま、めいてつかわうわごろ駅の近くで本屋さんをやっている。本屋さん、といっても、店をかまえているわけではない。注文を受けて、それを自転車にんで届け、それでなんとか生活しているのである。

 一九四九年〝日本経済ふつこうのため〟としようする、きんゆうひきめなどを中心とした「ドッジライン」がきようこうされ、企業ごうのしわ寄せは、まともに労働者におそいかかって来た。トヨタでは賃金のはいが続き、いすゞ一四〇〇名、日産二〇〇…

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