「さあ、また地獄が始まるか」
自動車工場で働く僕が見たものとは。「働くこと」の意味を問うルポルタージュの歴史的名著に、最新の情勢を加筆した新装増補版。

日産八〇〇台態勢

 一九七三年一月七日(日) 新年会。寮の近くのビジネスホテルで。このホテル(といっても旅館だが)は、かんばんがわりに本物の乗用車をとうの上に上げている。季節工の参加者はぼくだけ。初めに組長があいさつ。ことしから作業台数は八〇〇台になる。残業も増えるだろう。「どうかをしないように注意して、協力して頂きたい」

 しばらくして席も乱れ、酒をそそいで回ったり、マイクをにぎって流行歌を歌ったり、なかとダンスをおどったりする人たちも出はじめたがよつぱらう人はなし。みんなつつしみ深い。全員で酒を飲むこんな機会にごろうつぷんがなんらかの形で出てく…

この作品では本文テキストのコピー機能を制限しています

01