「富を求めるのは道を聞くためである」
03年刊『経済学と人間の心』の新装版。効率性よりも人間の尊厳を大切にした経済社会の構築を説く。池上彰氏の解説つき。
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2部 右傾化する日本への危惧

3章 昭和天皇とヨハネ・パウロ二世の言葉

 私が初めて、昭和天皇にお目にかかったのは、一九八三年十一月のことである。私はたまたま、その年の文化功労者に選ばれた。戦前の文化勲章は、金鵄勲章と同じように終身年金をともなう勲章であったが、新しい憲法の下で、文化勲章と文化功労者とに分けられることになったのである。文化功労者の顕彰式の後、宮中に招かれて、昭和天皇からお茶をくださることになった。私はそれまで、天皇制に対して批判的な考え方をもっていて、そのことをよく口にしていたので、宮中に招かれることに対してつよい違和感をもたざるを得なかった。

 宮中では、昭和天皇を囲んで、その年の文化勲章受章者と文化功労者が、一人ずつ順番に、何をしたかについて話す…

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