「富を求めるのは道を聞くためである」
03年刊『経済学と人間の心』の新装版。効率性よりも人間の尊厳を大切にした経済社会の構築を説く。池上彰氏の解説つき。
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3部 60年代アメリカ

──激動する社会と研究者仲間たち

5章 若き友人たちを巻き込んだヴェトナム戦争

 私がアメリカの大学にいたのは、一九五〇年代の半ばから一九六〇年代の終わりにかけてであるが、この期間はアメリカの歴史の中でもっとも変動の多いときの一つではなかったかと思う。一九五〇年代を通じて、アメリカ経済は、繁栄の高原と呼ばれるような安定的な状態にあったが、マッカーシー旋風の影響もあって、当時の大学生たちは、私にとって信じられないほど、政治的・社会的問題について無関心であった。しかし、一九六〇年代に入るとともに公民権運動などを通じて、学生たちの政治意識がにわかに高まり、やがてアメリカのヴェトナムへの軍事的介入がエスカレートするとともに、全国的な規模での反戦運動が展開されることになった。この大…

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