「緑色の男」は本当に実在するのか
テレビのブラウン管を通じて目にした「緑色の男」。この物語は自分の幼少期の記憶に焼き付いている、その男性を捜しに行く話だ。彼は本当に存在するのか、存在するとしたら記憶の通りなのか。サッカーのスタジアムから始まった「戦争」。ユーゴ紛争の終結から20年、私はその地に赴いた。

(下)家族の幸福と東京の記憶

 2016年の秋。

「緑色の男」に会うため、セルビアの首都ベオグラードに行き、そこを拠点にしばらく動いていた。そんなある日、僕は朝からクロアチアに向かうことにした。ここにもミーシャさんの足跡がある。

 昼になると、クロアチア国境まで2キロという標識が見えた。白抜きのそのキリル文字が頭上を過ぎていく。雲のない空。垂直の太陽が反射し、道が光って見える。片側2車線の一本道を進む。遠くに見えるゲート。日本の高速道路の料金所が頭をよぎった。

「日本人なんだな。クロアチアへは何をしに行く?」

 ゲートの男は眉間にしわを刻んでいた。胸板が厚い。

 僕は「ザグレブに住む友人に会いに。数日ほど…

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