「緑色の男」は本当に実在するのか
テレビのブラウン管を通じて目にした「緑色の男」。この物語は自分の幼少期の記憶に焼き付いている、その男性を捜しに行く話だ。彼は本当に存在するのか、存在するとしたら記憶の通りなのか。サッカーのスタジアムから始まった「戦争」。ユーゴ紛争の終結から20年、私はその地に赴いた。

「あの緑色の男、ミーシャと言うのか」

 ベオグラードに来て、すでに1週間が経とうとしていた。

 僕はその間、ある日本人の男と連絡を取り合っていた。ベオグラード在住35年以上。かつて、在ベオグラード日本大使館の職員だったという。彼とは、あるサイトを通じて知り合った。泊まっていたホステルで彼と合流し、私は車の助手席に乗り込んだ。

「ベオは旅行じゃないんだね」

 彼は進行方向を直視しながら右隣の私に話しかけた。2007年式のトヨタ・ヤリス。走行距離は約17万キロ。乗る時、バンパーのへこみが目に入った。賑やかな大通りを突き抜けるトラムのレール。ひび割れた石造りの建物の間に見えるパラボラアンテナ。信号は道路の先…

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