「緑色の男」は本当に実在するのか
テレビのブラウン管を通じて目にした「緑色の男」。この物語は自分の幼少期の記憶に焼き付いている、その男性を捜しに行く話だ。彼は本当に存在するのか、存在するとしたら記憶の通りなのか。サッカーのスタジアムから始まった「戦争」。ユーゴ紛争の終結から20年、私はその地に赴いた。

(中)「緑色の男」の過去へ

 

ストイコビッチらを生んだ土地

 2016年の9月。

 僕はセルビア共和国の首都ベオグラードを離れ、郊外へレンタカーを走らせていた。前方のフリーウェイは真っ直ぐに伸びている。ベオグラードから南へ約20キロ、「A2」という名の幹線道路。両側の風景は薄緑色の平原に変わってゆく。頭上の太陽。光が水色の空の隙間から差し込んでいる。午後からは雷雨の予報だった。片側2車線の前方にも後方にも車は見えない。レバーを4速から5速に入れる。2016年式のフォード・フォーカスだ。

 この少し前、ベオグラードのニコラ・テスラ空港でレンタカー屋に行くと、新車の欧米車が並んでいた。僕にはなぜか、赤の米…

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