「緑色の男」は本当に実在するのか
テレビのブラウン管を通じて目にした「緑色の男」。この物語は自分の幼少期の記憶に焼き付いている、その男性を捜しに行く話だ。彼は本当に存在するのか、存在するとしたら記憶の通りなのか。サッカーのスタジアムから始まった「戦争」。ユーゴ紛争の終結から20年、私はその地に赴いた。

3年後、雪のベオグラードで

 20191月。

 3年ぶりのベオグラードは雪だった。以前と同じく、福田さんと合流する。2007年式のトヨタ・ヤリスは健在だった。17万キロだった走行距離は20万キロを超えている。福田さんの右手がレバーを5速に入れると、車がグォンと加速した。ローラーが道路を転がるたびにシャリシャリと音が鳴る。中央分離帯の灰色の雪。黒いドットがはねて、めり込んでいる。遠くの街並みが、真っ白な世界に消失している。

 福田さんの右手人差し指がCDプレーヤの出っ張ったボタンに触れた。

「城南海、聴いてるかい?」

「たまに聴いてますよ」

「日本であれから、さらに有名になったよね」

「そうですね」

 僕は知…

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