裁判では、被害者遺族の側に複数の弁護士がいた。そのうちの一人で、三家族の弁護に当たったジョルディ・コマからも、私は話を訊いた。彼はモンギロードとは反対の立場で、ビラの人柄や犯行について、もっと冷ややかな見方を示していた。
「ジョアン・ビラは、神経質で不安を抱え、自尊心に欠ける男だったと思います。友人は少なく、社会との交流もほとんどなかった。世間から冷遇されてきたことで、彼独自の世界観を造り上げていったのでしょう」
そのビラは殺人者である。が、一般の人々は、「なかなかそう思うことができない」と、コマは言った。
「世間は、彼が精神疾患者だったと考えています。つまり、社会的に共感できる部分はな…