私と同じ44歳の彼は、もうすぐ帰らぬ人となる。処刑まで、あと1カ月を切っていた
〈犯した罪の償いとして、死刑が存在する。それは、人間社会が決める善と悪の基準に則って、できる限り悪を排除するための慣習なのだと思う。しかし、その基準は、全世界共通でないばかりか、国や地域や町によっても異なる。理想や希望こそあれ、死刑に絶対的な答えはない。〉生殖医療、安楽死と「生と死」をテーマにし続けてきたジャーナリストが、世界各国を取材し、死刑の「なぜ」に迫る。

ブラック・コード

 一九七七年一月一七日から二〇二〇年三月五日までの四三年間で、全米では、一五一七人の男女が死刑場の露と消えた。執行数の多い順に見ていくと、テキサス州の五六九人、バージニア州の一一三人、オクラホマ州の一一二人、フロリダ州の九九人、モンタナ州の八九人、ジョージア州の七六人、アラバマ州の六七人と続く。見ての通り、テキサス州は桁外れで、特に南部と南東部の地域にかけて死刑が活発に行われていた。

 アメリカでは、二八州で死刑が存置されており、二二州では廃止されている。過去五年間で死刑を行っているのは、テキサス州を始め一一州。一方で、死刑を廃止してはいないが、過去五年間で死刑を執行していない州も国内全域に広が…

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