江夏の21球、天覧試合。伝説の真相に迫る!
数々のドラマに彩られた昭和のプロ野球。江夏の21球は球史に残る名勝負として称えられ、巨人の大エース沢村の名は今も褪せることがない―。だが、その舞台裏には、これまで明かされることのなかった新事実が埋もれていた。

2章 沢村栄治、戦場に消えた巨人への恩讐

──「温厚だった父が〝許せない〟と……」ひとり娘が語り始めた

沢村と妻のいさかい

 ベーブ・ルースやルー・ゲーリッグに加えジミー・フォックスやレフティ・ゴーメッツらのサインもある。昭和九(一九三四)年十一月から十二月にかけて「米国大野球団」と「全日本」が対戦した「日米大野球戦」を記念して主催の読売新聞社が作成した『日米野球戦記念』と題するアルバムは関係者のみに配布された限定版である。中に収められている参加メンバーのサインは全て直筆であり、写真は紙焼きしたものが丁寧に貼られてある。表紙は革張りだ。

 時間をかけて目を通していくうちに、あることに気が付いた。「全日本」のエースである沢村栄治のサインだけが、どこを探しても見当たらないのだ。というより、不自然に消された形跡がある。

「母…

この作品では本文テキストのコピー機能を制限しています

01