「出かける日、家を出る時間、乗る電車。すべて運の悪い方を選んでしまった」
遺族と加害企業トップの2人は、組織を変えるためにどう闘ったのか。あの事故から始まった13年間の「軌道」を描く。真山仁氏推薦!

6章 激動

情報漏洩と隠蔽体質

 2008101日、国土交通省は、航空・鉄道事故調査委員会と海難審判庁の調査部門を統合した「運輸安全委員会」を発足させた。陸・海・空で発生した重大事故の原因究明体制を強化するため、各分野の専門家である委員を補佐する調査官を大幅に増員。函館から那覇まで全国8カ所の出先機関に地方事故調査官を置いて初動を迅速にできるようにした。これまでの事故調は国交省の諮問機関だったが、気象庁や海上保安庁と同格の外局にして独立性を高め、死傷者数の少ない事故も対象とするよう調査範囲も広げた。信楽高原鐵道事故遺族の粘り強い運動や、福知山線脱線事故で国の責任の追及が不十分だとする批判が背景にあった。

 新組織発足から1

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