「出かける日、家を出る時間、乗る電車。すべて運の悪い方を選んでしまった」
遺族と加害企業トップの2人は、組織を変えるためにどう闘ったのか。あの事故から始まった13年間の「軌道」を描く。真山仁氏推薦!

第Ⅲ部 安全をめぐる闘い

つまり、ものわかりがわるく、外在的な批判を「科学」にくわえることなのだ。…………問題は、その歴史社会における科学総体の原理なのだ。外在的批判というのは、近代科学の個々の知識なりは場合によっては受入れるという態度を留保しながら、原理において対立する、というスタイルの批判なのだ。

──村尾行一『死に至る文明──公害論入門』

7章 対話

一つのテーブル──課題検討会1

 少しだけ扉が開いた会議室。淺野の険しい横顔をカメラがとらえる。

 「違うやろうが。こっちは命懸けてやっとんねや」

 怒気を帯びた一言とともに、テーブルを叩く。緊張した空気がいっそう張りつめる。手前に居並ぶJR西日本の幹部たちはうつむいて押し黙り、身動きもしない。淺野がなお厳しい口調で…

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