新しいシーズンのプロ野球が始まって最初の日曜日だった。
その前日の土曜日、4月6日にパ・リーグのオープニングゲームが行われた。昭和60年のことだ。パ・リーグの開幕戦の話題は日ハムの十九歳のピッチャー・津野が勝利投手になったことだった。日ハムの新監督・高田繁にとっても、それは初の白星だった。十代のピッチャーが開幕投手に選ばれたのは昭和42年の鈴木啓示以来のことだというので、津野のピッチングは注目された。
対戦相手はロッテだった。ロッテは深沢を開幕投手に立てたが、打ちこまれた。
そして迎えた4月7日、日曜日の第2戦、空はどんより曇っていた。
その日、ロッテの村田兆治が先発投手として川崎球場のマウ…
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