衣笠、星野、江夏、村田兆治——珠玉の野球ノンフィクション9編
山際淳司が描いた衣笠祥雄、星野仙一らレジェンドの横顔。再編集版で復刻。

バットマンに栄冠を  

──衣笠祥雄の最後のシーズン

1988(昭和63)年

 ロッカールームに人はいない。

 今日はナイター練習なので、選手たちは夕方になって姿をみせるだろうという話だった。

 球場が、オフのあいだに改装された、という。「ヤンキースタジアムほどじゃないけどね」と、きぬがささちはいっていた。それでもいちおう見ておく価値はあるよ、と。

 ヤンキースタジアムの話がでてきたのは、このオフに衣笠祥雄がニューヨークに行き、冬のヤンキースタジアムを見てきたからだ。ヤンキースタジアムも何度か改装されて、昔の面影はない。しかし、衣笠は興味深そうだった。かつて、その球場でベーブ・ルースや、ルー・ゲーリッグがプレイしていたからだ。

 ベーブ・ルースは、衣笠の一番好きな選手だった。背番号

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