衣笠、星野、江夏、村田兆治——珠玉の野球ノンフィクション9編
山際淳司が描いた衣笠祥雄、星野仙一らレジェンドの横顔。再編集版で復刻。

二〇〇勝のマウンド  

1985(昭和60)年

 投球数──123

 打者──32

 打数──29

 投球回──9

 安打──2

 四球──3

 死球──0

 三振──3

 自責点──0

 勝敗──W

 その日のスコアブック、ひがしおさむ投手の項目には以上のような数字が書きこまれている。(W)はWinの頭文字、つまり東尾が勝利投手になったことを示している。わずか123球で9回を投げ切り、2安打完封。ほぼ満点のピッチングといっていいだろう。

 ゲームは、対南海戦である。

 場所は所沢の西武ライオンズ球場。試合開始は午後1時。終了が334分。84年のシーズンがまもなく終わろうとしている初秋のある日の午後、東尾投手は通算二〇〇勝を達成した。データはその日のものである。

 その…

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