メディア・リンクスの上場廃止騒動から三カ月ほどが過ぎた二〇〇四年六月二十八日、西日本随一の電気街として知られる大阪・日本橋の一角に本社を構える日本エルエスアイカードに一通の通知書が届いた。差出人は石川泰三という静岡県在住の個人投資家の代理人で、東京・西新橋に法律事務所を構える弁護士の笠井浩二だった。
通知書の内容は穏やかではなかった。大株主としての権利を行使して株主総会を招集、取締役一人を解任、新たに四人を選任したいというものだったのである。要は資本の力を背景に経営を乗っ取ろうというわけだった。定時株主総会が終わってから、まだ三日しかたっていなかったが、経営陣はとんだ挑戦状を突き付けられる格…
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