なぜ、カネボウは巨額の損失を隠し続けることができたのか
粉飾には数多くの関与者がいる。なぜ粉飾は後を絶たないのか。その末路とは。カネボウ、メディア・リンクス、ライブドアなどを事例に、粉飾にいたる系譜と構図を明らかにする。
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第Ⅰ部 カネボウの罪

第一章 秘密工作

■十六階特別応接室

 その日、一九九七年十二月十九日の朝は穏やかな陽光に包まれていた。週末の金曜日。天気予報によれば、大阪地方は晴れ、降水確率は一〇。上空の寒気は緩み、日中は十六度まで気温が上昇しそうだった。

 その日の朝刊はどこも一面トップで、金大中が四度目の挑戦にしてついに韓国大統領選挙に勝利したとのニュースを伝えていた。その脇では、新進党の党首選で小沢一郎が鹿野道彦を破って再選を果たしたことも報じられている。

 社会面に目を転じると、世相を反映したこんな記事が載っていた。

 「裸で一から出直したい/京セラに再就職 中島元主計局次長語る」

 「大型金融犯罪や贈収賄事件に力」

 「阪和興業部長 飛び込み自殺/南海高野線…

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