なぜ、カネボウは巨額の損失を隠し続けることができたのか
粉飾には数多くの関与者がいる。なぜ粉飾は後を絶たないのか。その末路とは。カネボウ、メディア・リンクス、ライブドアなどを事例に、粉飾にいたる系譜と構図を明らかにする。

■蜜月

 大阪市内から南に二十キロほど行くと、そこは泉州と呼ばれる地域である。

 江戸時代から泉州では「真田織」と呼ばれる木綿織の技術が伝承されてきた。戦国武将の真田幸村が語源ともされる真田織は日本刀の下緒や柄紐に使われたが、明治時代になると、ランプ芯やズボン吊りなどに用途が広がった。やがてその技術が毛布製造に結びつくこととなる。

 日清日露戦争を契機に綿毛布は中国大陸へと次々に輸出されるようになる。さらに第一次世界大戦でヨーロッパの毛布産業が疲弊すると、世界の毛布は「メイド・イン・ジャパン」が席巻した。当時の毛布は軍需向けが中心だったのである。

 泉州は尾州を引き離して、一大毛布産地となった。戦前のピーク…

この作品では本文テキストのコピー機能を制限しています

01