なぜ、カネボウは巨額の損失を隠し続けることができたのか
粉飾には数多くの関与者がいる。なぜ粉飾は後を絶たないのか。その末路とは。カネボウ、メディア・リンクス、ライブドアなどを事例に、粉飾にいたる系譜と構図を明らかにする。
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あとがき

 なるべく現場の風景を見たいと思っている。何かが得られる確証があるわけではないが、これまでの取材活動では常にそう心掛けてきた。

 カネボウ事件の展開が小休止していた頃、その創業地を訪ねたことがある。東京都墨田区墨田五丁目。最寄り駅は東武伊勢崎線の鐘ヶ淵である。隅田川と荒川に挟まれた一帯で、昔は文字どおり沼地のようなところだったらしい。かつては大工場だったものの、空き地と道路を隔てるレンガ塀の跡だけが往時の面影だ。今では物流センターがぽつんと取り残された格好である。その奥まったところにひっそりと佇む石碑だけが、「発祥の地」を静かに訴えている。案内してくれた社員に聞けば、訪れる人は稀なようだ。

 工場…

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