なぜ、カネボウは巨額の損失を隠し続けることができたのか
粉飾には数多くの関与者がいる。なぜ粉飾は後を絶たないのか。その末路とは。カネボウ、メディア・リンクス、ライブドアなどを事例に、粉飾にいたる系譜と構図を明らかにする。
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第九章 衝撃

■霞が関ビル

 「甚大なご迷惑をかけ、私どもとの信頼関係を損なったことを、心からお詫びします」

 中央青山監査法人理事長の奥山章雄はまずそう言って、深々と頭を下げた。その瞬間を見計らったように、報道陣のフラッシュが一斉に浴びせられる。

 「内部管理体制で把握できなかったことも反省し、お詫び申し上げる次第です」

 再び奥山が頭を下げる。シャッター音の洪水とともにフラッシュの嵐が容赦なく襲いかかる。奥山はうつむいたまま、その屈辱的な仕打ちを、ただ一人で受け続けた。不祥事の責任をとってその日、ほかの理事十人は全員が辞任していた。

 カネボウの巨額粉飾事件が最終的に辿り着いたのは大手監査法人の背信だった。

 二〇〇五年十月三…

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