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「粉飾の原資」というものを考えた時、カネボウからライブドアに至る粉飾決算の態様の変化が明らかになる。
これまで見てきたことで、おぼろげに理解できたと思うが、粉飾決算は「無」から「有」を生み出す魔術ではない。損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書という三つの財務諸表の間で数字を付け替える、言ってみればずる賢い数字合わせだ。ほとんどの場合、その目的は損益計算書における期間利益を実態よりよく見せることである。
だが、ずる賢い数字合わせはどこかで歪みが生じる。カネボウの場合、それは異常に膨れ上がった受取手形や棚卸資産であり、メディア・リンクスの場合は慢性的に続いたキャッシュフロ…
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