なぜ、カネボウは巨額の損失を隠し続けることができたのか
粉飾には数多くの関与者がいる。なぜ粉飾は後を絶たないのか。その末路とは。カネボウ、メディア・リンクス、ライブドアなどを事例に、粉飾にいたる系譜と構図を明らかにする。
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第八章 破産会計士

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 群馬県高崎市に事務所を構える公認会計士の細野幹夫によれば、東証マザーズに上場するゼクーの監査を引き受けるきっかけは知り合いからの一本の電話だった。二〇〇四年の晩秋のことである。

 電話をかけてきたのは大場武生だった。大盛工業株を巡る風説の流布を仕掛けた金融ブローカーだ。そのとき、株価吊り上げの道具立てとされた携帯電話関連ベンチャーのジャパンメディアネットワークを、大場は「ゼネラルマネジャー」という肩書で背後から操っていたが、細野は同社で監査役に就いていた。二人にはそんな関係があった。

 大場という人物についてはその経歴からしてとかくの風評が立っていたのだが、細野ははじめそのことを知らず、後に聞い…

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