なぜ、カネボウは巨額の損失を隠し続けることができたのか
粉飾には数多くの関与者がいる。なぜ粉飾は後を絶たないのか。その末路とは。カネボウ、メディア・リンクス、ライブドアなどを事例に、粉飾にいたる系譜と構図を明らかにする。

■たつみ山荘

 架空循環取引で正常な感覚が麻痺していた新堂が知らぬ間に地下迷宮へと彷徨い込んだのは、いつからだったのか。その疑問を解く鍵が岡山県にある。

 あらかじめ警告しておくが、ここから先の話はかなり込み入っている。登場する人物や会社は、こちらをあざ笑うかのように、縦横無尽に輻輳し、お互いの関係は表面上切れそうなくらい細い糸でしか結ばれていない。それらを事細かに理解する必要はない。日本経済の地下深くに根を張るネットワークの雰囲気だけでも感じ取ってもらえれば、それで十分である。

 中村や井筒が社内に入り込む三カ月前の二〇〇三年四月一日、メディア・リンクスは取締役会において、ある投資案件を決議している。岡山県美…

この作品では本文テキストのコピー機能を制限しています

01