日本の隠然たる権力者の実像
葛󠄀西敬之。旧国鉄改革を手がけた「国鉄民営化三人組」の異名をとった一人で、民営化後のJR東海2代目代表取締役社長から会長、名誉会長を歴任。「葛󠄀西ー官邸ライン」と呼ばれるほどの政界との太いパイプを持つばかりか、官界、財界、メディアにも大きな影響力を持つ人物だ。権力あるところに表立たず君臨する、その知られざる実像に迫る。

5回 JR発足と「改革三人組」の相克

三塚博が自民党内で「裏切り者」と呼ばれた理由

 国鉄の分割民営化を進める組織には、政府の国鉄再建監理委員会と自民党の「国鉄再建に関する小委員会(通称三塚委員会)」の二つがあった。国鉄再建監理委員会は第二臨調の色が濃い政府委員会である。国鉄再建臨時措置法に基づいて1983年に発足した同委員会では、委員長の亀井正夫や委員長代理の加藤寛のサポート役として運輸省の官僚が配属された。運輸省の鉄道管理局国鉄部長の林淳司が事務局次長となって事務方を束ね、黒野匡彦(79)がその部下の課長に就いた。二人はともにのちに運輸事務次官となる。

 運輸省の大勢は国鉄の分割民営化に慎重で…

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