戦後20年目に出版された、広島を生きる人々の声
忘れてはいけない 広島で生きる、小さな声
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福島町

 福島町は広島市の西部にある。市を流れる六本の川のうち、一番西寄りが太田川放水路で、町はその東に、細長く南北によこたわる。人口およそ六千九百。

 広島市に生まれた私は、戦前この町が西日本有数の未解放部落として、周囲から差別を受けていたことを知っている。だが、戦後二十年もたった今、なおそのような古い日本人の意識が生きのびていようとは、考えてもみなかった。たまたまこの町の住民の一人、靴修理工木崎久夫(四七歳)と話しあう機会を得、根深く残っているさまざまな差別の実態を聞かされて、驚くというよりむしろあきれた。身をもって確かめるまでは、とうてい信じがたい思いがした。そこから私は、木崎久夫を通じてこの町の…

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