2011年3月11日14時46分、宮城県沖でマグニチュード9・0の地震が発生した。それによって引き起こされた津波も含め、先進国が受けた世界最大級の自然災害となった。本書を執筆している4月25日の時点でもまだ余震が続き、被害が甚大なあまり、その全貌は把握できていないほどである。
本章では、東日本大震災後における「風評被害」と「うわさ」に絞って論じ、それらの背景となる社会心理に注目しつつ、発生原因を考えてみたい。
東日本大震災とその後の大津波によって発生した福島第一原子力発電所(以下、福島第一原発)の事故を原因として、国内ではまず二つの風評被害が発生した。
一つは、一部地域が福島第一原発30km…
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