「不安」の方がニュースバリューを持つメカニズム
「安全」「安心」を追求する当たり前の気持ちが生んだ現象。そこに悪意はない。だからこそ根深い。

はじめに

 周りの多く人が、自分をあざわらっているような気がする。

 事件、事故、不祥事がマスメディアで報道され続ける。それに巻き込まれ、自分が手塩にかけて育ててきた農作物、自分が苦労してってきた魚、開発に何年もかけてようやく完成した自分の会社の商品までが、なぜか買ってもらえなくなる。それ自体に何の問題もないのに──。

 1990年代の終わりから「風評被害」という言葉が広く知られるようになった。「風評」を辞書で引くと、「悪評」「悪いうわさ」といったことが書いてある。それにならうと、風評被害とは「悪いうわさによる被害」ということになる。本書を手にとっていただいた方の多くもそう思っているだろう。

 しかし、話はそこま…

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