風評被害という言葉を一気に定着させるきっかけになったのが、99年9月30日に起きた、茨城県東海村の核燃料加工施設JCOで発生した臨界事故である。
これは、ウラン溶液を均質化する作業の最中に、適切でない沈殿槽を用いたために、原子核分裂の連鎖反応が継続して発生する「臨界状態」(本来は原子炉の中での状態)に達し、至近距離で中性子線を浴びた作業員3人のうち2人が死亡するという事故だった。
国際原子力事象評価尺度で、旧ソ連チェルノブイリ原子力発電所事故(レベル7)、米スリーマイル島原子力発電所事故(レベル5)に続くレベル4となったこの事故は、この時点で日本における過去最悪の原子力事故であった。東海村全…
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