「不安」の方がニュースバリューを持つメカニズム
「安全」「安心」を追求する当たり前の気持ちが生んだ現象。そこに悪意はない。だからこそ根深い。

6章 流通と風評被害

 風評被害を発生させる社会的背景について、4では、「メディア報道」について、5では「安全」について論じてきた。本章では、いま一つの社会的背景「流通」について考える。

 日本は諸外国と比べて、流通網が極めて発達している。配達の遅延や誤配の少ない「高度流通社会」である。しかし、そうであるからこそ、風評被害が発生しやすくなったといってもいい。

 本章では、流通のプロセスで広まる風評被害について考え、それぞれの立場の「主観的な安全」が、風評被害の発生プロセスにどのように関連するのか、分析してみよう。

代替品の調達を可能にする「高度流通社会」

 自動車が普及し道路網が整備される時代まで、野菜や果物、肉、魚などの生鮮食品は、腐らずに持ち運べる地…

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