プロローグ
祐司は何度も何度も後ろを振りかえりながら緑深い山道を登っていった。10人の子供たちは、元気に自分の後ろを歩いている。
どうしても気になるのは、いちばん後ろからちょこちょことついてくる、もうすぐ4歳になる弟の存在だった。広島市に囲まれた安芸郡府中町の自宅から歩きはじめて、もう3時間は経過している。11歳になる祐司でさえ足腰にけだるい疲労を感じはじめていた。
しかし、3歳の聖はひょいひょいと軽快な足どりで跳ぶように山道を歩いている。
「たいしたもんじゃ」とその姿を確認するたびに祐司は弟の体力と気力に感心した。
近所の子供たちで編成さ…