生きるか死ぬか。それが、村山にとっての将棋の正体であり意味であった。
名人を目指し、将棋界に入った村山聖は、重い腎臓病を抱えていた。彼の一手、一局はまさに命懸けだった。

エピローグ

 森が広島についたときには村山はすでにそうじように運ばれていた。

 村山の遺体の前で森は泣きくずれた。こらえてもこらえてもえつが体をすりつけどうすることもできない。何度も顔にかけられた白い布を取ろうとするのだが体がふるえてそれもできない。

「村山君……」

「村山君……」

 泣きじゃくりながらその言葉ばかりをりかえしていた。引きくような悲しみが森の体をつらぬいていた。

 村山のためならできることは何でもしてやった。自転車の荷台もしてやった、パンツも洗ってやった、かみも洗ってやった、夜中にコンビニをけめぐり、街中の本屋を訪ね歩いた。

「もうわしがしてやれるこ…

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